何事も経験

まだいつから春のキャンプが始まるかわからない状況ですが、今オフシーズンはいつもとは違った感じのオフを過ごしています。過去14年間とは違う役職で迎えるキャンプになりますが、体より頭の準備をしなければならないオフは今年が初めてです。過去14年間であれば、100マイル(160キロ)近いメジャーリーガーの球をキャンプに入ってすぐに受けなければなりませんでしたし、彼らと遠投を毎日できる肩もしっかりと作ってアリゾナに向かわなければなりませんでした。今シーズンはブルペンには入ることはありませんし、ピッチャーと遠投したりキャッチボールすることすらもほとんどなくなります。その代わり、コーチとして選手のパフォーマンスを向上させたり手助けする知識、能力を上げるために、体より“頭”の準備を重点に置くオフを過ごしてきました。これは初めての経験であり、色々なことを学び、体験して、自分で言うのも難ですが毎日成長している気がします。この歳になってもまだまだ新しい経験をする機会って沢山あるのだと、このオフシーズンは公私にわたり実感しています。

経験以上の勉強はないですね。実際に体験してみなければわからないことって沢山あるし、自分で勉強している時はなかなか覚えられないことも、ある一瞬の出来事を体験することにより一生忘れない自分の財産となることもあるんですね。もう少し若いころは、欲しいもの(物体)を得て満足していたのですが、少し歳をとってみて、経験を自分のものにすることに満足感が変わってきている気がします。もちろん今も自分の手に入れたい物体は沢山ありますし、それをモチベーションに頑張っている部分もあります。しかし、出費してでも勉強したり、失敗して得た経験以上に自分にとっての宝物はないと思うようになりました。

車を当て逃げされて、修理に4ヶ月もかかってしまったこと。修理中に借りていたレンタカーが高速道路で走行中に急にパンクして走行不可能になったこと。車のエアコンが臭くなってきて、ネットで調べて自分でエアフィルターを変えたこと。などなど身近なところでの経験も最近しています。運が悪いと思ってしまえばそれまでです。そこでおしまいでしょう。しかしそこから得られることは、その経験をしたからこそ得られることも沢山あります。その経験が自分の財産になると感じられたら、不幸が幸せに変わっていくんですね。

何事も経験ですね。その経験が自分の1番の財産なんですね。

サンフランシスコより

植松泰良