肩の作り方の違い
日本人の知り合いの人が自分達の試合を観にきていつも驚いているのは、リリーフピッチャーの肩の出来の速さです。「全然投げないじゃん。あんなので肩出来るの?」といつも驚かれます。
確かにこっちのリリーフピッチャーは肩の出来るのが本当に早いのです。キャッチャーを座らせて3球だけ投げて試合に入っていくこともあります。日本だったらあり得ませんよね?
リリーフピッチャーは試合中ベンチからの指示があるまで絶対に投げ始めてはなりません。試合中のブルペンでのキャッチボールさえも許されていません。キャッチボールはバッティング練習前にピッチャー同士でするだけで、試合中にキャッチボールをしたければ、イニングの間の外野手とのキャッチボールだけです。
ベンチからの指示があるのも、投げる前のイニング、則ち、3アウトぶんの時間しか肩をつくる時間を与えられません。もう一度指示があって肩を作って登板しないことになって、2度目に指示があって肩をつくるときは、前のイニングの1アウト後からです。2バッター後に行けるように準備しろといきなりベンチから指示があることもあるのです。
それに比べ、日本では自分の投げるタイミングを計って、前々から自分でキャッチボールをします。第二回WBCのアメリカでの第二ラウンドが始まる前の2試合の練習試合で日本代表のブルペンに入りましたが、その時にこの違いにびっくりしたのを覚えています。
アメリカで野球をしている人が肩が出来るのが早いのは、恐らく小さい頃からそういう風にしているからでしょう。昔からそういう風にしていればそれが習慣化し、彼らの身体には一番良い方法なのでしょう。
球数を投げない理由は他にもあります。アメリカでは肩、肘は消耗品だと言われています。肩、肘を砂時計に例えて表現されることもあります。砂時計の一回分が肩、肘の寿命だとすれば、その砂が落ちるのを出来るだけ遅らせようという考えです。
日本では投げることによって肩が強くなり安定していくという考えだと思うので、キャンプ中の200球、300球の投げ込みは普通です。しかし考え方の違うアメリカでは、投げ込みは絶対にあり得ません。
どちらが最善なのかはわかりません。だけど一つだけ言えることは、慣れれば肩って早く出来るんです。
これからもメジャーと日本の違いなど書いていけたらと思います。
サンフランシスコより、
植松泰良