メジャーのトレード
通常であれば毎年7月31日東海岸時間午後4時がメジャーリーグのトレードが締め切られます。しかし今年は7月31日が日曜日であり、メジャーリーグの試合15試合中14試合はデーゲームであったため、試合中の混乱を避けるために、締め切りが8月1日でした。7月31日以降でもトレードは成立するのですが、少し複雑で、チーム同士の交渉だけでは成り立ちません。7月31日の締め切りまでに出来る、Non-waiver Tradeという方法は、チーム同士の交渉だけで成り立つとレードなので、プレーオフ進出を目指すチームは即戦力の選手たちを補強するために行います。この期間に行われる大多数のトレードは、プレーオフ進出の可能性のあるチームが、もう今年は可能性の低いチームから即戦力の選手をもらい、プロスペクトと言われる、若手の将来有望な選手を交換します。将来有望な若手をゲットした、今年はプレーオフ進出の可能性のないチームは来年以降を見越したチーム編成を考え始めるわけです。
我らジャイアンツは今、ナショナルリーグ西地区の首位を走っています。トレード締め切り約1ヶ月前からメディアでは色々な噂が流れ始め、メジャーリーグTVでは1週間前から毎日トレード特集を組むほど注目され、そして頻繁に行われます。ジャイアンツは今年は主力3人が怪我をしていて、大型外野手、複数のポジションを守れる内野手、リリーフピッチャー陣の強化、そして先発投手の補強が注目されていました。数日前にツインズからヌニェス内野手を獲得し、昨日31日にはブルワーズから左のリリーフピッチャーのスミス投手、そして締め切り直前にレイズから左の先発ピッチャーのモーア投手を獲得しました。モーア投手の交換要因は、マイナーリーグの有望若手2人と、驚くことに、怪我から復帰中の正三塁手のダフィー選手でした。ダフィー選手はまだ若い、右の強打者ですので、タンパベイに移って、今以上の活躍をしてほしいと思います。
メジャーのトレードは頻繁に行われますし、トレードされてチームを出ていく選手たちのほとんどは、優勝を目指すチームから期待されて補強されるわけなので、すごく光栄なことなのです。日本のプロ野球にはトレードといえば少しマイナスなイメージがあるかもしれませんが、メジャーリーグではプラスなイメージが大きいのです。
トレード期間には選手たちの中でもトレードに関する色々な冗談が飛び交います。トレードされるわけのないブルペン捕手の私が、数日前に、クラブハウス内の自分のロッカーの使わない荷物を遠征用のバッグに詰めて自宅に持ち帰る準備をしていたら、「タイラがトレードされたぞ!」と言われたので、「ボストンはいい街だから喜んで行ってくるよ!」と適当に答えておきました。そんな冗談が平気で飛び交うくらいトレードは当たり前のように起こるのです。
昨日1日はフィラデルフィアに移動して1日休みでしたので、今日から8月の試合が始まります。今日球場入りすれば、新しい2人の選手のロッカーが用意されているのでしょう。そして数時間後にはその選手たちがジャイアンツの仲間入りをします。今年も優勝できる戦力を補強したジャイアンツのフロントは流石だと思います。
ペンシルベニア州フィラデルフィアより
植松泰良