メジャーリーグ仕事がしたい
私のホームページを見てくれている人、講演を聞きにきてくれた人など、色々な方々からメッセージを頂いたり質問されたりするのが「メジャーリーグで働くにはどうすれば良いか」です。
まず、メジャーリーグの仕事には色々とあります。選手としてメジャーリーグのチームでプレーする。コーチとして働く。私の様にサポートスタッフの一員でブルペン捕手やバッティングピッチャーとしてチームに所属する。大学でスポーツ医学を勉強し、資格を取ってアスレチックトレーナーとして選手をサポートする。同じ様に選手のパフォーマンスやフィジカルの強化をするストレングス&コンディショニングコーチになる。クラブハウスで道具の管理やユニフォームなどの洗濯を担当するスタッフになる。日本ではマネージャーと呼ばれる役職も存在します。チーム所属ではありませんが、球場のグラウンド整備、芝の管理をするスタッフもいます。これらが現場に存在する様々な仕事だと思います。
この他にもフロントオフィスに入り、チーム編成の仕事や地域との交流を促進したり企画したりするコミュニティーサービスという部署もあります。チーム専属のカメラマンやテレビ中継の実況解説をあうるアナウンサーもチームに所属しています。チームの広報、弁護士、財務、会計士もいますし、チケット販売を管理する仕事もあります。ホームページを管理する仕事もあると思います。この他にもたくさんの仕事があります。
フロントオフィスではインターンシップを公募していますし、現場であればアスレチックトレーナーもインターンシップを設けています。そこから正社員として採用される人も沢山います。インターンシップを経て正式に採用されるケースが野球に関する仕事では多いのではないかと思います。自分がどの部署でどの仕事がしたいのかしっかりとわかっていれば、あとはチャンスを探るだけです。
しかし、こういう人も多々います。「子供の頃からずっと野球を続けてきて野球が大好きなので野球に関係した仕事に就きたい。」実際に私自身もそうでした。「どんな仕事でもいいからとにかく選手の近くで働ける仕事がしたい。」気持ちは本当に良くわかります。でもそれだけでは仕事はなかなか見つかりません。この世の中に野球が大好きな人は何万人といますし、野球に関係した仕事があってチャンスがあるのであればしてみたいと思う人はたくさんいるのではないでしょうか。趣味が仕事になれば最高です。でも物事そんなにうまくいかないのが現実です。メジャーリーグで働きたければもちろん英語を話せなければなりませんし、アメリカ人と一緒に働くわけですから彼らと同じレベルでコミュニケーションを取らなければなりません。言語のハンデは残念ながら言い訳になりません。
アメリカは実力主義の国だとよく言われますが、まさにその通りなのかもしれません。日本の企業のように新卒で会社に入れて育てていくというシステムは一般的にないと思います。学校で自分の目指す分野の知識、技術をしっかりと身につけて、インターンシップでそれを実践し、それを使って仕事をするために就職先を探すというのがアメリカのやり方だと思います。なので仕事に就く事が出来ればどんな分野の仕事でも即戦力として使われます。だからこそアメリカではスポーツ選手以外では年齢は問われることが少ないと思います。
私が出来るアドバイスとしては、とにかく自分が何をしたいのかということをまずはっきりとさせる事が一番大切だという事です。それが見つかれば、それに関する仕事に就くためにどんな資格が必要だとか、どんな技術を持っていなければならないのかなどが次々とわかってきます。それが見つかれば後は簡単です。努力あるのみです。
よく、「メジャーリーグの現場で働くには人を知っていなければならない」と言われますがそれは事実だと思います。一般的にそれを「コネクション(コネ)」と呼びますよね?それを聞いて頭の中で嫌なイメージが過るかもしれませんが、コネも実力のうちだと思います。なぜならコネクションを通して仕事を見つけるにも、先ほど述べた通り、専門の知識、技術、そして経験があってこそ通る事のできる道だからです。自分のアンテナをしっかり伸ばせば情報も入ってきますし、それに関する知り合いも増えてきます。しかし知識、技術を持った上でアンテナを張るのと、何もない状態でアンテナを張るのでは情報のプロセスの仕方が違うので、そこからのチャンスの広げ方、応用の仕方もだいぶ変わってくると思います。
長くなってしまいましたが、メジャーリーグで働くためにとにかく一番大切なことは、自分が何をしたいかということを明確にして、その仕事に必要な知識、技術、資格を身につけることだと思います。それらの準備が出来ていて、自分のアンテナを伸ばし、色々な人と出会い、タイミング良くチャンスをつかんでいけばメジャーリーグの組織で働くことが出来るのではないでしょうか。
オハイオ州シンシナティより、
植松泰良