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皆に聞かれること

本当にありがたいことに、運が良いことに、そして支えてくれている皆様のお陰でメジャーリーグで8年目のシーズンをおくっています。特に日本に帰ると皆に聞かれることが、「どうしたらそんなに長くメジャーにいることが出来るの?」です。

 

私は選手ではありませんので、選手のような厳しさはありません。結果が残さなければ下に落とされたり、すぐにクビになったりすることもありません。しかし、一年契約なので毎年評価されます。クビになる可能性は毎年あるのです。数年でクビになってしまったスタッフも見てきました。

 

自分では当たり前のことを当たり前のように毎日やっています。自分の仕事は野球の経験があれば誰でも務まるとも思っています。ここで働けているのは自分のキャッチング技術だとは全く思っていません。オフシーズンに再確認するとことが出来ましたが、独立リーグやクラブチームで活躍するキャッチャーの方がよほど私より技術が高いです。もし技術でこの仕事が決まるのであれば、その選手たちに今すぐ自分の仕事を取られても納得出来ると思います。

 

では、なぜ自分自身が8年もここにいられるのか、全くわかりません。ただただ一生懸命仕事をしているだけです。実は8年前は私のポジションはありませんでした。ブルペンキャッチャーのポジションはチームには一つしかなかったのですが、もう一人必要だということで、初めは保証期限なしで試しに呼ばれたのが始まりでした。いつまでいられるかはわからないと伝えられていました。

 

与えられた仕事を当たり前にこなしながら、常に自分自身を誰からでも利用可能な状態にして、自分の出来ることを探していました。もちろん球場に早く行きましたし、出来ることはなるべく何でもしました。早く出勤したからといって、常にやることがあるわけでありません。でもそれがチャンスを掴む一番の方法だと信じていました。

 

ただアメリカの社会で気をつけなければならないと気付かされたのが、やれる事をやり過ぎて、他の人の仕事の範囲に入り込んではいけないということです。その役職の人を尊重し、その人の仕事がスムーズに進むようなサポートをするのが私の出来る最大限の事だと気付きました。

 

華やかなイメージが強いアメリカですが、アメリカの野球人は目立ち過ぎることを嫌います。自分が目立ち過ぎて、チームのイメージを壊したり、自分の立場を超えた行動は控えなければなりません。自分の立場で出来る発言にも気をつけなければなりません。

 

日本では当たり前のことだと思います。時間を守る。人を尊敬する。与えられた仕事を当たりませにこなす。継続は力なりと言いますが、まさにその通りです。安定性、一貫性、普遍性が心身ともに保てなければ、信頼を失うのは簡単です。気が抜けていた時の思わぬ発言、行動は誤解を招き、一瞬にしてチーム全体に広がります。簡単なことですが、8ヶ月間毎日継続することは簡単ではないかもしれません。

 

目立つ仕事をすれば気分は良いし、信頼を一気に勝ち取った気分になります。しかし特にサポートスタッフはただそれだけやっていれば必要とされる人材になれるかといったらなれません。目立たないかもしれないけど、小さなことをコツコツやることで、他のスタッフの仕事がやりやすい環境を作れるし、それが自分にとってのチームへの貢献かもしれません。つまらないと思われる仕事をコツコツと、それがチームのためだと思えることが大切なのではないでしょうか。

 

長くなりまとまりがありませんが、これが自分が気をつけてやっていることです。それが実際に8年目を迎えられた理由かどうかはわかりませんが決して間違ってはないと思います。誰もが知っている常識だと思います。しかしマンネリ化すれば忘れてしまっている時もありますよね。

 
 
 

植松泰良

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